2017年2月27日月曜日

小笠原4

9/11
父島最終日。昼にはフェリーで出なければならないので、宿周辺を中心に散策することとした。
日が昇ると暑い暑い!あまりしっかりと下調べをしなかったので、歩いたコースは外来樹木のモクマオウがほとんどを占める寂しい場所だった。モクマオウは落とした葉を積もらせるので、下に他の植物が生えてこない。アカガシラカラスバトを期待していたが、まず鳥すらほとんど見かけない有様だった。

見晴らしの良い高台に上ると、オレンジ色の蝶が!なんとカバマダラだった。これは小笠原には生息していない蝶。海を乗り越えてきたのだろう、ボロボロの翅が痛々しい。しかしさすがマダラチョウの仲間である。 
/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED300mm F4S(IF)

帰ってきて一息入れながら宿のおかみさんと話していると、「あそこはあまり生き物はいないよ!歩くなら長崎の方じゃないと!」と教えてくれた。落胆した我々を見かねて、乳頭山の登り口まで送ってくれると声をかけてくれたので、お言葉に甘えて最後のチャレンジをすることにした(降りてきたら電話くれれば迎えにいくよ!とも。宿のおかみさんにはお世話になりっぱなしだった。)。
山頂でナミアゲハやグリーンアノール、オガサワラノスリを観察して、下山。やはりカラスバトは現れてくれなかった。それでも素晴らしい見晴らしと気持ちの良い風に当たって、疲れた体も幾分マシに。

枝の間で休むグリーンアノール。綺麗な爬虫類なのだが... / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED300mm F4S(IF)

フェリーの出航までしばらくあるので、最後は漁港周りでシギチ探索。昨日は子供達がたくさん遊んでいたグラウンドがこの日はガラリとしていたので覗いてみると、シギチの群れが採餌中。種類をチェックするために群れを双眼鏡で流していると、電撃が走った。「サルハマ幼鳥!...いや、雑種か!?」
一見やや下に湾曲した嘴からサルハマシギかと思ったが、足が黄色い。瞬間、最近SNSで拝見したサルハマシギとアメリカウズラシギのハイブリッドと思われる個体の画像が頭をよぎった。これだ!



たのシギチの群れに混ざらず、ほとんど単独で行動していた。横に並んだセイタカシギよりだいぶ小さく見えたが、三枚目のようにヒバリシギよりは大きい。体格のわりに足が短くて可愛い。
/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED300mm F4S(IF)

その後は他のシギそっちのけでこの雑種シギを撮影。大きさはヒバリシギと並ぶとかなり大きく見えるが、セイタカシギほどではない。なんだか全体的にアンバランスな雰囲気に見えた。何かに驚いて飛んでいくまで、じっくりと撮影。後日、この個体はそのSNSの個体と同一であろうということがわかった(撮影場所が近かったため)。


雑種シギと共に我々を楽しませてくれたトウネン。警戒心がまるでなく、レンズの最短距離よりも手前にきてしまうこともあった。羽の様子から成鳥夏羽から冬羽へと移行中か。
/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED300mm F4S(IF)

とうとう出航の時間がやってきた。たくさんの島民の見送りを眺めて、最後の船がおがさわら丸を追うのをやめたタイミングで鳥見モード再開。行きで見逃したシロハラミズナギドリなどをキャッチすべく、双眼鏡で現れる鳥を片っ端からチェックする。が、結局カツオドリ、オナガナギ、アナドリばかり。夕日が完全に沈むのを見届けてから二等船室に戻ることにした。

9/12
日の出とともに甲板に出ると、すでに多くの人が朝日を見に出ていた。鳥見が目的の人なんて我々くらいだ。眠い目をこすって双眼鏡を覗くと、まず目に入ったのは朝日に照らされて飛ぶオナガナギ。「この海域でもまだいるのか!」と思っていたら、その後はオオミズナギドリに入れ替わった。不思議なものだ。
売店が開いたというアナウンスが聞こえたのでコーヒーとパンを買いに行き、またすぐに外に出ると後輩が「なんか違うのが…」とカメラの画面を見せてきた。シロハラトウゾク!ほんの数分で貴重な出会いを逃してしまったようだ。
その後もほぼ休まず双眼鏡とカメラを覗き続けたが、アカアシカツオドリが一度船の横でダイブした以外は特に珍しいものは出現せずであった。波が高くカメラが塩まみれになったが、東京湾に入ってしまうと波は穏やかになり、オオミズナギドリの代わりにウミネコが増えてきた。横浜の港町をバックに飛ぶアジサシを眺めて、無事におがさわら丸は竹芝桟橋へと到着。遠征は幕を閉じた。

アカアシカツオドリ。亜成鳥か。一度ダイブしたが、すぐに遠ざかってしまった/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED300mm F4S(IF)

途中、かなり波が高くて辛かった。さすがのオオミズナギドリも群れでプカプカ / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED300mm F4S(IF)

今回、念願の小笠原に遂に行くことができ、良い非日常を味わうことができた。固有種の宝庫と言われる小笠原だが、外来種の巣窟となってしまっていることを実際に歩いて実感。オオヒキガエルやグリーンアノールは非常に可愛らしい生物で、見かけた時はとりあえずカメラを向けてしまったが、複雑な気持ちでもあった。この先、少しでもこれらの外来種が減ることを祈るばかりである。

最後に、このなかなかにお金と時間のかかる遠征に一緒に来てくれた後輩たちに感謝。彼らの発見力や情報サーチには大いに助けられた。本当にありがとう!またどこかに行きましょう!

というわけでなかなか進まなかった小笠原紀行はこれにて終わり。更新が月一ペースになってしまうの、なんとかしたいなー。


まなもと

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